時代行列が呼び物の「第38回しなの追分馬子唄道中」が7月23日、軽井沢町追分の浅間神社と旧中山道を会場に4年ぶりに開催されました。

お天気はタイミングよく前日の22日に信州も梅雨明けし、陽気は夏日に一気に入れ替わりました。祭りが最高潮の日中は茹だるような暑さが続きましたが、反って絶好の祭り日和の一日になりました。巷の人口減少問題など何処吹く風と、早朝から夕方まで終日、町近郊の内外から集まった人出で大賑わいでした。過去を振り返ると、参加者が約3,000人とも云われた時期がありましたが、今回は予想もしないモーレツな人出の波に見舞われ、嬉しい雄叫びも上がりました。

子供連れの幸せそうな家族、現役世代の若い男女の群れ、都会の暑さを逃れた別荘民など、様々な観客模様が往来するシーンが此処かしこに続きました。何と云っても特筆すべきは、西部地域の園児や小学生のチビッ子たちや町内の中学・高校生が繰り広げたダンスや器楽演奏での大活躍が目立ちました。これまで、主催者の「私たちの子供たちが他所に対して誇りが持てる、心のふるさとを創り上げる」との一貫した開催理念から、いち早く“子ども真ん中”を取り入れてきた成果の表れです。

祭りとくれば、みこしは必須のアイテムです。プログラムの子どもみこし&昔あそび処は、子どもたちが大勢集まる人気のイベントです。男みこしと女みこしの2基は、十数年前に「追分こども会」(当時)が手作りで拵えました。子育て世代の若い父母と子どもたちが、苦心惨憺して完成にこぎ着けました。他所の豪華で煌びやかなみこしとは異なりますが、ヒューマンな愛と汗も沢山ヤグラに乗っている地元の“宝物”です。毎年、夏祭りには倉庫から引っ張り出し、修理しては使っています。

祭りのフィナーレを大いに盛り上げてくれたのは、キッズダンスとビンゴ(お楽しみ抽選会)でした。大音響が鳴り響く音楽に合わせ ステージの上で所狭しと体を使って踊りまわる躍動感に溢れるダンスを、観客席になった境内では親子たちの見物する集団が熱気でムンムンする塊(かたまり)になって集中して鑑賞していました。彼らが繰り広げたうねる様な力強いパフォーマンスとエネルギーは、持続すべき遺産として次世代に引き継がれることを確信させてくれました。感謝!感謝!の気持ちが満ちたのは、小生一人だけではありません。

この時節、第9波のコロナウイルス感染症拡大の懸念も指摘されましたが、3年間も空白を強いられたにも関わらず、担い手の人材とスキルのブランクを感じさせず、成功裡に終わることが出来ました。社会・経済生活のコロナ禍の暗雲を一時にしろ、ものの見事に吹き飛ばしてもくれました。西部地域に根付いている良き歴史と伝統に、また一つ素晴らしい新たな1ページを加えてくれました。(S)